気を下げて丹田に入れることで症状を落ち着かせる方法
前回のお話し(→うつ病、パニック障害で揺らがない心にするために)は、心の意識の持ち方によって症状に影響を受けない心の土台をつくる。それによって、やがて心や体の症状が消えていったというお話しでした。
今回は、体を使った方法についてお話ししたいと思います。管理人が病気のときに体験し、症状を落ち着かせるのに効果的だと感じたものです。
病気だったときに体験したものの中に気功があります。そして、この気功の体験を通じて、自らのうつ病、パニック障害の症状に対する見方が大きく変わりました。(この気功とは、治療師によるものではなく自分で行う方法を指しています。)
またそれは、症状を落ち着かせるための大きな気づきを与えてくれました。
このようにお話ししたら、何か気功をお勧めする記事のように思われるかもしれません。しかし、そうではありません。すでに管理人自身、長い間さほど練功していないのです。(もちろん気功を行うことが良いことであるとの認識は変わりませんが。)
管理人は病気を克服してから20年以上、再発もせず症状の片鱗もありません。今回の記事は、そのために大きく役立っているこの気づきの内容を知っていただくことを目的としてお話ししています。
また、その気づきをもとに自分で効果的に行うことができる方法として、丹田呼吸を紹介したいと思っています。
丹田呼吸は気功の基本的な呼吸法であり、一般によく知られている呼吸法でもあります。ご存じの方もおられるのではないかと思います。しかし、この病気の方に丹田呼吸をお勧めするのは理由があります。
それは、先ほどの症状を落ち着かせるための気づきとも関連しており、この内容を理解したうえで行うことで丹田呼吸の効果も変わってくるものと思っています。さらに、管理人が丹田呼吸を行ったときに、留意したポイントも併せてお話しします。
そしてまた、今回の内容は、次回の呼吸法についてのお話しにつながっていくことになります(→記事)。より課題を解決したそちらの記事についてもあわせてご参考いただければ幸いです。
なお、この記事では上記の点に絞ってお話しを進めていきます。気功を行うことになった経緯、体験した効果などの詳細に関心のある方は、克服過程の一連の記事うつ病、パニック障害を克服するまでの途Ⅲ-気功との出会い-、同Ⅳ-気功と呼吸-にまとめていますのでそちらをご覧ください。
このほか気の視点と関係した方法として、水流によって体の状態を整える方法を簡単に紹介しています。
今回紹介している方法も前回と同様、一人でできるものであり、経済的な負担はありません。
以下、よろしければ参考にしてみてください。
気を下げて丹田に入れることで症状を落ち着かせる方法
管理人は病気だったときに、内養功(易筋行気法)という気功を体験したことがあります。中国の北載河発祥の医療気功です。
この病気の診断を受けた後、一般的な治療以外の方法で一番最初に体験したのがこの気功でした。なお、当然ですが、ここでいう気功とは上記内養功で自ら体験したことがもとになりますのでご了承ください。
繰り返しますが今回、ここでお話ししたいことは次の2つです。
1つには、気という視点を得たことによって、自分の体や病気の症状に対する見方、感じ方が大きく変わったというお話しです。そして、この気の視点から自分の病気の症状を見たとき、どのような示唆を得ることができたのか。
そしてもう1つは、丹田呼吸の方法です。そして方法を紹介するだけでなく、管理人が体験を通じて得た示唆を踏まえて、うつ病、パニック障害の症状にとってなぜおすすめなのか、ということをお話ししていきます。
気という言葉にあまり馴染みのない方も、最後までご覧いただければ幸いに存じます。
気という視点
気功をしていると手に気の温かな感覚を感じることがあります。気功をして良かったことのひとつは、自分の体に対する気の視点を得たことです。
視点と言っても気が見えるなど視覚的なお話しではなく、自分の体を気という側面から感じるようになったと表現したほうが誤解がないかもしれません。
具体的にどういうことか。
例えば、腕が冷たくなって痺れたりすれば、腕の血流が悪くなっていて神経が痛みを感じている。一般にはこのように、肉体の物理的な反応によるものという見方をすると思います。管理人も気功を体験する以前は、当然ですがそのような見方しかありませんでした。そしてこの場合、腕を物理的に揉んだり、温めたりして対応します。
気の視点というのは、上記の見方の他にもう1つ、体には気というエネルギーが巡っており、この気の状態から体を捉えてみるということです。
先ほどの例で言えば、腕が冷たくなって痺れているのは、腕に十分な気のエネルギーが伝わってないからかもしれない。あるいは、途中の肩で気の流れを阻害する原因があるのかもしれない。体全体の気が不足している可能性もあります。
また、気の視点を得てからは、今回の場合、腕の痺れが肉体の物理的な反応として感じているのではなく、気によるものだということもなんとなくわかるようになりました。気の視点を得たことで、症状の感じ方も大きく変わったのです。
それによって、単に肉体の物理的な反応だと認識していたときとは、不思議と症状に対する感覚そのものが変わってきた、ということ経験しました。自分の体への別の視点が加わったことで、感覚が変わってきたということです。
なお、症状を落ち着かせて病気を克服するには、これと同じように気を感じるようにならなければならない、というものではないと思います。今回のお話しはこの気の視点から得た気づきをお話しすることが目的であり、またそれを活用することは可能だと思っています。
もうしばらくこのお話しにお付き合いください。
気の状態から感じたうつ病、パニック障害
それではうつ病、パニック障害の症状を感じるとき、気の視点でこれを見たらどうなのだろうか。
気功を体験していく中で、どのような気の阻害要因によるものなのか、徐々に体感としてわかってきました。
管理人が体感したことは、簡単に言えば以下のとおりです。
・体の気がすべて頭に上がっている(気が上がる方向にある)。
・首から下の体を気が循環していない。首から下のエネルギーが大きく不足している。
特に以下の症状の阻害要因となっていたことは、わかりやすいです。いずれも当時の管理人が悩まされていたものです。
・体の緊張、強張り。特に首と肩の筋が張っている。
・腕が時折痺れる。
・手足がいつも冷えている。
→気が頭に上がっており、当該部分に流れにくくなっている。
・体がだるい。
→気が頭に上がっており、丹田に不足し体に循環していない。
・吐き気がある。胸やけがする。
・立っているときにふらついたり立ち眩みがする。
→気が頭の方に上がっていく流れになっている。
・様々な否定的な感情や思考で頭が満たされている。
→気が頭に上がっており、頭がエネルギー過多状態になっている。
例えば、東洋医学では「頭寒足熱」という言葉があり、この状態が健康に良い状態とされています。文字から想像できますが、頭が涼しく手足が温かい状態です。
上記の管理人が挙げた症状は、頭が熱く手足が冷たいので「頭熱足寒」の状態です。まったく逆の状態になります。
そしてこれは、体の気が頭に上がっておりバランスが非常に悪い状態にあります。気の重心が頭に行っているので、立っていてふらつくのも当然と言えます。
ご覧いただいている方にも同じような症状があれば、気という視点から同じような現象が起こっていると考えられます。この状態を解消するにはどうすればよいのでしょうか。
丹田呼吸の方法
その解消方法として、丹田呼吸を紹介したいと思います。一般に知られている基本的な呼吸法であり、ご存じの方もおられると思います。
ただし、先ほどの気の視点からの気づきの内容を踏まえ、以下にお話しする内容を理解していただければ、すでにご存じの方もより効果が違ってくるものと期待しています。管理人にも経験がありますが、形だけ行っている状態になっていることがあるのです。
また、次回にお話しする呼吸法につながる内容でもありますので、以下、お付き合いいただければ幸いです。
丹田というのは、下腹部の臍の下あたり一帯のことを指しています。そして、気功では、この丹田に気を落として収めることが大切だと言われています。
体の気は丹田に蓄積されるとともに、体全体を循環しているとされています。つまり、体の気の根源であるとともに循環させるポンプにあたるものです。
先ほどの「気が上がっている状態」とは、体の気が頭の方に行ってしまい、丹田の気が不足している状態です。これでは体に循環させることはできません。
そして丹田呼吸とは、この丹田に気を収める呼吸法になります。その方法とは、以下のようなものです。
・臍下あたり一帯(丹田)に意識を置く。
・ゆっくり腹式呼吸する。
・息を吸うとき、丹田に温かな気のエネルギーが凝集するイメージをする。
基本的な呼吸法であり、難しいということはないと思います。
なお、管理人の体験から、効果を得られるように以下を補足しておきます。
・体はリラックスして力を抜きます。体の中が空洞(カラ)になったようなイメージです。それにより体の気が通りやすくなります。
・腹式呼吸はお腹を膨らませようとせずとも、丹田を意識すれば自然に腹式呼吸になります。
なお、手や足の位置など姿勢を細かく指導する方もいますが、それほど拘らなくとも上記のポイントで十分だと思います。管理人は立った状態でも、座った状態でも行っていました。
なお、症状があれば、意識はそちらに向かいがちになります。しかし
丹田を意識する
このことを忘れないようにしてください。
そうしないと漫然と単なる腹式呼吸をしていることになります。単にお腹に空気を出し入れすることと丹田呼吸とは異なります。
さらに付け加えれば、管理人の体験ではこの病気のときには、否定的な感情や思考などに意識が集中し、意識が頭や胸など高いところに残りやすいです。できれば意識そのものが丹田にあるという感覚で行うようにしていただければと思います。意識が高いところに残った状態では、気が下がりにくくなってしまうためです。
丹田呼吸していて気がつくのは、首、肩などの上体の緊張が自然に解けることです。
やってみればわかると思いますが、逆に上半身に力を入れた状態で丹田呼吸はできません。丹田に意識を置くことができず、また腹式呼吸もできないのです。
また、丹田呼吸を繰り返し行っていると、丹田のあたりに温かさを感じたり、手足の冷えが解消されたりすることがことがあります。
丹田呼吸を行うことで、頭のほうに上がっていた気が丹田に下がってきます。そして丹田に気が蓄積され、体に循環するようになります。先ほどの例で言えば、頭寒足熱の状態に近づいていくということです。
丹田呼吸をお勧めする理由
管理人の症状は、頭寒足熱とは逆の状態でした。そしてこのとき、気は頭に上がっていて丹田になく、体にも循環していません。気はひたすら頭に上がる方向になっています。これは前にお話ししたとおりです。
それではなぜ、この状態になってしまったのでしょうか。管理人は丹田呼吸を行うことで、普段、以下の状態であることに気づきました。
・否定的な感情、思考などでいつも頭に意識を置いている。
・浅くて早い胸式呼吸(肩呼吸)をしている。
・首、肩、腕など上体が緊張している。
これは丹田呼吸とは、まったく逆のことをしています。
丹田呼吸は気を下げて丹田に蓄える方法でしたが、その逆ということは、当然、気が上がっていくということです。
普段、無意識にこれらを行っているので、いつも気が上がっていく状態になっているのです。そして、丹田には気が十分に蓄積されません。丹田に気が十分にないため手足に送り出せず冷えたり痺れたりします。そして、気の重心が上がって立っていればふらついたりするようになるのです。
丹田をお勧めする理由には、気を丹田に下げてこれらを解消する効果を期待するほか、以下のことがあります。
丹田呼吸の方法と比べることで、普段、無意識に行っている内容がわかりやすくなること。そして、普段の自分とは真逆であるからこそ、矯正するのに効果的ということです。
以上が、気を丹田に下げる丹田呼吸の方法の紹介となります。ご参考になるところがあれば幸いです。
Sponsored Link
流水によって体を整える方法
管理人がこの病気だったとき、以下のような症状がありました。
・胸を中心として体全体に、モヤモヤする不快な感覚がある
・肩甲骨の背骨側に不快な感覚がある
・膝裏にけだるい不快な感覚がある
言葉で表現することが難しいのですが、上記のような不快感がありました。そしてこの感覚があるため、体がいつもすっきりしないのです。心の状態にもよい影響を与えません。
これに関して病院の診断は、自律神経の失調によるものということでした。ちなみにこの自律神経失調の原因というのは、はっきりしないようです。規則正しい生活をすることで、体のリズムを戻すようにアドバイスされるといった程度でした。
先ほど、気功の体験を通じて、気の視点を得たというお話しをしました。体を気というエネルギーが流れる存在として感じるようになり、症状についても単に肉体的な反応としてのみ認識していたときとは、異なる感じ方をするようになった。自分の体への認識も大きく変わったというものでした。
この気の視点から、先ほどのモヤモヤする不快感を見たとき、以下のように感じました。
それまでは神経作用の不調反応としてのみ認識していましたが、体の気のエネルギーの不調によるところもあるのではないか。実際、管理人の体験では、モヤモヤを感じる部分の気が、重く濁ったような性質のもので、それが体にまとわりついているように感じられました。
管理人が体験上、これを解消する効果があると感じた方法が、これから紹介する流水を使った方法になります。簡単に言えば、以下のような内容になります。
・風呂場などのシャワーで、立った状態で体の上から順に次の要領で流水を当てていく。【頭→顔→胸(中央)→左腕→左脚→右半身も同様→背中(少し長め)】
・流水を当てたときに、体の不快な感覚が水で下に押し流されて出ていく意識で行う。
例えば、左肩から左腕にかけて流しているときには、不快な感覚が下に押し流されて左手の先から出ていく、というように意識します。不快な感覚とは、先ほどのモヤモヤした感覚、けだるい感覚などです。これら不快な感覚が取れないなど、流し足りないように感じたら、その部分に繰り返し流水を当てて押し流していきます。
最後の背中は、仕上げとして首の付け根あたりに流水を当てて、やや長めに流します。体全体の不快な感覚が下に流れて足から出ていくように意識します。
また、流水で流すときには、不快な感覚という重く濁ったエネルギーが流れ出ていく、という意識で行っていただければと思います。肉体の神経作用の反応という認識で行った場合、効果がその認識に限定されてしまい、不快な感覚が流れ出ていくという効果が得られない恐れがあります。
前回の記事(→記事)で、金の玉と泥の例え話をしました。この方法を行うとき、金の玉に付着した泥が流れ落ちていき、本来の汚れなき自分が現れてくるという意識で行うとより良いと思います。
なお、寒くて負担に感じる場合は、ぬるま湯で行って問題ありません。無理なく行うようにしてください。(水で行ったほうが、すっきりした感覚が得やすいということはあります。)
同じような症状がある方など、ご参考になるところがあれば幸いです。
記事のまとめ
今回の記事は以上になります。ご覧いただき、ありがとうございました。
これらの方法が、皆さんの負担軽減となれば幸いです。
今回の記事の内容をごく簡単におさらいすると、以下のようになります。
・体を気というエネルギーの視点で、病気の症状があるときの状態を見たとき、体の気がすべて頭の方に上がっており、首から下は不足する状態になっていることが感じられた。
・このため丹田に気が不足し、体に循環しないことにつながっている。そして頭寒足熱とは逆の頭熱足寒の状態となり、様々な症状を生じさせている。
・症状を落ち着かせるには気を丹田に下げる必要があり、その方法として、意識を丹田に置いて腹式呼吸を行う丹田呼吸を紹介している。
・また、この病気のときには普段、丹田呼吸とは逆のことをしているため、頭に気が上がる流れになっていることに気づいた。この普段の状態を矯正する意味でも丹田呼吸は効果的となっている。
・体の不快感を解消する方法として、体の上の方から順に流水を当てて不快感を押し流していく方法を紹介している。
次回は、呼吸法を紹介するお話しになります。先にも触れましたが、丹田呼吸などをもとに、より症状に対応できるよう試行錯誤して、課題の解決を図ったものとなっています。あわせてご参考いただければ幸いです。(→次の記事)