心の根本をポジティブに転換する方法:中村天風氏のエピソードから

2023年9月10日

うつ病、パニック障害の人に対して、「あなたは幸せですか?」と聞いたら怒られるでしょうか。

普通の反応としては、怒りますよね。

管理人がうつ病、パニック障害だったときには、「なぜ自分ばかりこうした苦しい思いをするのだろう」
「どうして自分はこうした境遇にあるのだろう」という想いがいつも心にありました。

世界を広く見渡せば、自分よりはるかに苦しい状態にある人は多くいるはずです。
しかし病気で苦しい状態にあるときには、自分の友人など身近な人と比較して、自分ばかりが苦しいという感情を抱きがちでした。

そのような経験ありますでしょうか?

そうした心の状態から抜け出すにはどのようにしたらよいのか。

今回は、ネガティブになった心を根本からポジティブに向かわせる方法を、明治時代に日本にヨガを導入した先駆者である、中村天風氏のエピソードから紹介してみます。

この方法は、どのような状態でネガティブになっていたとしても、ポジティブに転換できる最強の方法ではないかと思います。

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中村天風氏のエピソード:「世界一の幸せ者」

中村天風氏が、その当時の死病と言われた結核で心身とも弱るなかで、自己を再び作り上げる端緒としたと言われるエピソードです。(エピソードの内容は、書籍「天風瞑想録」の一部を要約したものです。)

日露戦争で軍事探偵をして心身ともに強靭だった天風氏ですが、戦後、急進性の結核にかかりました。
そして、その当時の日本では治す術がなく、日本を出て渡米し、欧州にも渡ったものの治る方法はわからず、得るものもなかった。

失意落胆して日本へ船で帰国する途中、たまたま寄港したエジプトのアレクサンドリア。
そこのレストランでヨガの達人であるカリアッパ師に邂逅します。

師は天風氏の胸に疾患があることを見抜き、自分についてくるように言う。
天風氏もどうせ死ぬ運命ならばと師についてインドに渡り、ヒマラヤ山麓ふもとにある村で日々、山に登って瞑想する修行をしていたときのことです。

高熱が続いて、時折、喀血するほど衰弱した病状だったそうです。

そしてこのとき、天風氏は「どうして自分だけがこのような状態にあるのか」と思っていたそうです。
軍事探偵だった頃には死も恐れず強靭だった心身がともに弱くなり、心がネガティブになってしまっている。

そんな中である朝、カリアッパ師に挨拶すると、

「おお、世界一の幸せ者よ!!」

と返されたそうです。

冒頭でもお話ししましたが、うつ病、パニック障害だったときの管理人がそんなことを言われたら、さすがに怒ったと思います。

さすがの天風氏もひどい冗談だと怒ったら、「本当のことを言っているのだ」と言ったそうです。

「頭が痛い、熱があると言っても、生きているじゃないか。まず第一に、生きていることをなぜ感謝しないのだ」と。それを聞いた天風氏は、素直にも「なるほどそうだ」と思い、自分を「罰当たりなことだ」と反省したそうです。

そして、「生きているだけで嬉しい、幸せだ」という事実を、結核によって心身ともに弱り、ネガティブな心にとらわれた自分をつくり変える第一歩とした。

そういうエピソードです。

天風氏はその後、この師のもとで瞑想の修業をするなかで、心こそが、人間を世に満ちている万能の気と結びつける回路であり、心を積極的にすることでこれらの気を大きく取り込むことができる、ということを体得されたそうです。

そして2年間の修行を終える頃には、治すのは困難とされた結核が完治してしまったということです。

「世界一の幸せ者」と感じてみる

生きているだけで、世界一の幸せ者。それにしても「世界一」とは凄いですね。

しかし確かに生きていなければ、ほかの幸せなことも感じることがなく、何も感じることはありません。
あらゆる幸せを感じることができるこの「生きている」という事実は、最高度に幸せなことだと言えるかもしれません。

また、自分が見たり聞いたりしている「自分の世界」というのは、自分の存在なくして成り立ちません。
その世界を成り立たせている自分が「生きている」という事実は、最も根源的な、幸せのもとになるものと言えるかもしれません。

うつ病、パニック障害のときには、心にどうしても不安、恐怖などの否定的な感情が生じてしまいます。
そして、その感情に浸ってしまい、ポジティブなことを思おうとしても浮かんでこないものです。

こんな病気の状態で、どうしてポジティブに思えることがあるものか。

そういうようなとき、この言葉を思い出します。

病気で苦しい状態にあっても、息をして、ご飯を食べて、生きていられる。
当たり前だと思い、特に意識することはありません。

日常生活の中で、この生きているという事実を奇跡的なことだと感じることは、どうしても見落としがちです。

生きていることが「世界一の幸せ」である

このことに思いを向けて、そして感じてみる

あらゆる人は当然、生きているわけですから、どういう状況にあっても、積極的な視点を確保することができる。

そういう意味で、この方法は心をポジティブに転換する最強の方法だと言えると思います。

管理人も折に触れて、この言葉を思い出し、この言葉を感じてみています。

なお、中村天風氏の事績などを要約し、以下の記事で紹介しています。興味のある方は、参考にしてください。

うつ病、パニック障害で心を揺らがなくする意識づけの元ネタについて
この記事は、「うつ病、パニック障害で心を揺らがなくするために」の記事で紹介した意識づけの方法に関して、影響を受けた元ネタの内容を要約したものです。神道などの内容を含みます。

著者・管理人:柊 基博(Hiiragi Motohiro)


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