気を下げる意識の置き方:藤平光一著「中村天風と植芝盛平 氣の確立」から

2024年10月19日

藤平光一著「中村天風と植芝盛平 氣の確立」(東洋経済新報社)
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著者は合気道で大変著名な方(故人)ですが、武道を嗜まないことからこれまで寡聞にも知らず、最近になって本著を読みました。こちらの書籍を取り上げたのは、病気のときに試行錯誤して自ら修得した呼吸法について、別の視点による発見があったからです。

なお、上記の呼吸法について未読の方は、メイン記事「うつ病、パニック障害を克服する過程で修得した呼吸法」で紹介していますので、ご覧いただければ幸いです。

病気を克服してから20年以上が経っていますが、最近になっても新たな発見があります。ご覧の方にも症状への対処や、呼吸法を行うにあたって参考になるところもあるかと思いますので、以下に紹介してみたいと思います。

上記の呼吸法の記事では、呼吸法を行うときの大切なポイントとして次の2つをお話ししました。意識を丹田に置くこと、横隔膜を押し下げるようにすることです。これらによって頭に上がった(上がる流れにある)気を効果的に丹田に下げることができるということでした。

初見の方のため念のため申し添えますが、これらは管理人が病気のときに気功(易筋行気法)の体験を通じて気づいたものです(合気道ではありません)。また、気づきの内容を理解していただくことが目的であり、気功の推奨が目的ではありません。

気をなぜ下げる必要があるのかについては、メイン記事「気を下げて丹田に入れることで症状を落ち着かせる方法」でお話ししているのでご覧いただければと思いますが、簡単に言えば、病気のときにあった体の緊張や強張り、息苦しさ、吐き気、だるさ、手足の冷えや痺れ、立ち眩みなどの症状は、そのときの自らの体の気の状態を省みたとき、気が頭の方に上がっている(上がる流れにある)ことに気づいたことにあります。

この状態になる要因に気づいたのは、気功の基本的な呼吸である丹田呼吸と、普段の状態を比べてみたことにあります。丹田呼吸は丹田(臍下の一帯)に気を下げるもので、意識を丹田に置き、ゆっくり腹式呼吸をするのですが、普段の自分は無意識に逆のことをしていたというものです。(なお、丹田呼吸の詳細は上記の記事(→記事)で紹介しています。)

丹田呼吸と逆の状態とは、普段の日常において、呼吸が浅く早く、胸の上部で行う肩呼吸となっていること、否定的な想念、感情などで常に意識が頭など体の高い所にあることが挙げられます。また、意識を丹田に置いてゆっくり腹式呼吸を行えば、肩や胸など上体の力が自然に抜けるのですが、呼吸と意識がこのような状態のため、上体に緊張して力が入りやすくなっていることも挙げられます。

管理人の呼吸法は、これらの気づきをもとに、より効果的に気を下げるよう試行錯誤したものですが、効果的に気を丹田に下げるために特に重要なポイントとして、繰り返しになりますが、

・丹田(臍下の一帯)に意識を置く
・横隔膜を押し下げる

ということを呼吸法の記事(→記事)でお話しさせていただきました。

少し長くなりましたが、これらを踏まえて今回の著書を読んだとき、以下の気づきがありました。

まず、本著のタイトルにある植芝盛平氏は合気道の開祖にあたる方で武道の達人でしたが、同氏の門下であった著者は、それは「リラックス」の達人に由来するものであったと述懐しています。では、どのようにすればリラックスできるのか。

そのための一つの方法として、意識の置き方が紹介されています。それは「体の一番下に重さを置く」というものです。非常に簡明な表現だと思いました。

重さは当然、地球には重力があるので、下に向かいます。当然そのようになるはずなのですが、これまでお話ししたように管理人の体験では、気が上に向いてしまうことがあります。重さが一番下にあるということは、本来のあるべき自然な形に戻すということです。

この方法を試したところ、横隔膜が自然に下がりやすい状態になり、肩、胸などの上体も自然に力が抜けやすい状態になりました。呼吸も丹田の方向、下向きの呼吸になりやすいです。これらの状態はつまり、気が下がりやすくなるということです。

「体の一番下」であるため、意識の重心も丹田よりさらに下の方になりますが、気が下がりやすく安定しやすいと感じました。

なお、仰向けに寝ている場合には、重力からすれば背中側になるのですが、横隔膜や上体などを上記の状態を維持するため、管理人の場合は、起きているときと同様に足に向けて行うのが良いと感じました。起きているときと同様、リラックスして気が下がりやすいと感じました。

ご覧の方も、先ほどのポイントに照らして、自分の体を感じてみてください。同じようになっていれば、気が下がりやすい状態になっていると思います。

この著書を読んで面白いと感じたのは、管理人は病気のときに、気功などの体験を通じて前置きでお話しした気づきがありましたが、武道家によるこのような方法でも同様のことが起こるということです。

また、意識を置くところによって体の反応がまったく変わることは、管理人の体験でもあります。例えば、先ほどのメイン記事の丹田呼吸の紹介でお話していますが、意識を丹田に置けば、呼吸の仕方は自然に腹式呼吸になります。

このほか皆さんも経験があるわかりやすい例としては、片足立ちをしたときです。意識が頭の方にあればふらつきやすいですが、足元に意識を置いていれば、非常にふらつきにくくなります。(普段から鍛えている方は、頭の方に意識があってもふらつかないかもしれませんが。)

最後に繰り返しになりますが、上記の方法は気を下げるうえで参考になりますし、管理人としても、病気のときにこの方法を知っていれば、役に立ったのではないかと思い、紹介させていただきました。

本サイトで紹介している呼吸法と合わせて、参考にして役立てていただければ幸いです。


著者・管理人:柊 基博(Hiiragi Motohiro)


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