ポジティブシンキングよりも簡単に心を前向きにする方法

2024年10月19日

ポジティブシンキング(積極的思考)という言葉があります。皆さんもご存じだと思いますが、例えば自分にとって良くない出来事があった場合にも、それをそのまま受け取らず積極的に解釈することで、心を前向きに保とうというものです。

自分にとって嫌なことや良くない出来事が起こった場合、心は否定的になりがちです。しかしそれは自分にとって、表面上は悪い出来事に見えるけれども、実際には自分の悪い部分を教えてくれるものだったり、自分を磨き、成長を促してくれる「意味」を持ったものだと積極的に解釈することで、心が前向きになることができ、そして乗り越えていくことができるというものです。

さらに発展して、このようにして前向きな心を保つことが、自分にポジティブな出来事を引き寄せたり、そのような運気の流れを引き寄せることができるという人もいます。あるいはまた、世界の生成は心を介して行われるのであり、前向きな心を保つことによって、自分にポジティブな世界が創られる(逆にネガティブな心の場合は、そのような世界が創られる)という人もいます。

このような自分の心を前向きに保っていくということは、私も素晴らしいことだと思います。病気だったときも、このような考え方に触れる機会はあり、当時ネガティブに流されるままだった自分の志向を見直すきっかけにもなりました。

当初は私も目の前の出来事をそのように解釈する、というこの方法を採っていたのですが、横着な性質?によるものなのか、病気のときの経験から、心の労力が少なくて済む以下のような方法を採るようになりました。皆さんにも参考になるかもしれませんので、お話しさせていただきます。

目の前にネガティブな出来事が起こってポジティブな方へと解釈する。たしかに心の消極の度合が減少し、うつ状態が緩和されて楽になるのですが、病気だったときにはネガティブな(方に見える)出来事が多く、時として頭の中でそれを振り替えていく作業で疲れてしまうことがありました。

積極的に解釈するというのは、頭を使う作業です。出来事をそのままに受け取らず、頭の中で積極的に解釈していくことになるのですが、うつ病などのときにはそもそも頭が働きにくく、判断や分析する力が低下する時があります。

あるいは妙に頭が冴えたような感覚を得て、四六時中身の回りの出来事などに考えを巡らせる時もあるのですが、思考が空回りし、積極的に解釈しようとしても病気の影響なのか、なかなかそのような思考に持っていくことができないという時もありました。

そのような時に身に着けたもので、現在に至るまで心を楽な形で積極的にするのに役立っている方法が、以下のような物の見方です。物の見方というより体感的なところもあり、病気を克服するにあたって役に立った感覚の一つです。それは以下のようなものでした。

いきなり譬え話で恐縮なのですが、海には潮の流れがあります。潮流としては例えば日本の近海で言えば、大きな流れとして親潮、黒潮というものが日本の太平洋側にあることを子供の時分に習いました。親潮は北側から、黒潮は南側から大きく流れてきて東の方へ流れていきます。

日本から流れていった物が、このような潮流に乗って太平洋を渡ってアメリカ西岸に漂着したなどという話しも聞いたことがあります。

海に浮いていればそこには数々の波が立っています。そして岩礁にぶつかって横から来たり、大風に煽られて向かい側から立ちはだかるように寄せてくる波もあるかもしれません。しかし底流としては、このような大きな潮流があるということです。

海に浮いているというのは譬えですが、日常ではこの波のように数々の出来事が前から、横から、斜めから寄せてくることがあります。しかし底流としてはこれらの波は海の表層のものであって、深いところでは一定の方向への大きな潮流に乗っかっている。そして体感として、自分の体を後ろから前へと押し出す大きな潮流があると感じてみるようにしました。

その方向もより良い方向に向かっていく大きな流れというものです。このより良い方向に体を後ろから前に押し出す大きな潮流を、体全体で感じてみるようになったというものです。

そしてこのあり方は、力を抜いてリラックスすることにつながります。自力で漕がなくてはという思いは、そのための力が体や心に入ることになります。そしてそれは、悪い方向へ向かっているのではないか、向かいたくないという焦燥感、不安感が動力となっていることもあります。

良い方向へ潮流に乗っているのであれば、そのようなことに陥ることもありません。必死になって自力で漕ぐほど疲労につながり、波にあおられ水の中でもがくほど、沈んでしまうかもしれません。力を抜いてリラックスした方が、楽に浮くことができます。

日常には数々の波としての出来事がありますが、それらを解釈するということはありません。そのような労力を要せず、やや横着?な方法なのかもしれません。しかしこの物の見方、体感は現在も続いて、病気の克服に役立ったものと自分では思っています。

以上が今回のお話しなのですが、いかがだったでしょうか。個別にやってくる出来事をポジティブに解釈していくのではなく、良い方向への大きな潮流に乗っているという認識と体感が、楽に心を前向きにするというお話しでした。

皆さんにとって参考になったところがあれば幸いです。ご覧いただき、ありがとうございました。


著者・管理人:柊 基博(Hiiragi Motohiro)


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