《否定的暗示》から影響されないようにする方法
《否定的暗示》という言葉を用いましたが、どのようなものなのかと思われた方もあるかと思います。以下、私の具体的な体験をもとに、お話しさせていただければと思います。
病気に罹った初期の頃のことですが、心理カウンセラーによるカウンセリングを利用したことがありました。カウンセリングを受けるときには、その都度、カウンセラーに対して自分の心の状態をお話しすることになります。
自分の心の状態を専門家にお話しして理解、共感してもらうことで、安心感やカタルシスを感じていたのですが、ある時から苦痛を感じるようになりました。自分でも何故なのかと思い、そして次のことに思いあたりました。
カウンセリングでお話しする自分の状態ですが、大体の場合、良いものではありません。このカウンセラーに対して自分が話している内容に、自分の意識が暗に囚われてしまっているからだ、ということに気がつきました。
例えば「自分は心の暗い人間だ」と言っている人は、明るい心にはなりません。仮に一時、何か良いことがあって気分が明るくなったとしても、このように《自認》していれば、その状態に戻ってしまうのではないでしょうか。
自分の状態を話すということは、この《自認》をし続ける行為になります。
これは自分が話す場合に限らず、例えば他者から「あなた顔色が悪いよ」と言われた場合にも、実際自分の状態がどのような状態であるかに関わらず、自分は具合が悪いのだろうと思い、そのように《自認》してしまうこともあります。
また話す場合に限らず、例えば日記などで自分の状態を記述する場合についても、同じことが起きる可能性があります。このように何気ない日常の中にも、意図せず暗に自分の状態を否定的に決めてしまうことを、ここでは《否定的暗示》と呼んでいます。
このような《否定的暗示》による否定的、消極的心理に陥らないようにするためにも、普段から否定的な言葉を使わず、肯定的な、積極的な言葉を使うよう推奨する方もおられます。それも良い方法だと思います。
また上記の《否定的暗示》という作用を自覚することで相対化し、影響を軽減できるということもあります。例えば、先ほどお話ししたような、カウンセリングで自分の状態を話する中で心が振幅した場合には、自分の話している内容に心が囚われている《否定的暗示》にかかっているのだな、と自覚することで、その影響を軽減することができるということです。
このほか、このサイトのメイン記事「うつ病、パニック障害で揺らがない心にする方法」(→記事)では、自分の存在の《本質》は変化しないものと認識する方法を紹介していますが、自己への根底にこのような認識がある場合には、《否定的暗示》の影響を受けなくなります。影響があったとしても表層的なものに止まり、心が大きく振幅して揺らいでしまうことはありません。
この方法は私が病気だったときに身につけた方法ですが、《否定的暗示》を一括してキャンセルでき、心理面で根本的な影響を受けなくなったことも、振り返って病気の克服につながったのだと感じています。
以上、日常に潜む《否定的暗示》とその影響を排除するというお話しでした。ご覧になった皆さんの参考になるところがあれば幸いです。
なお、心理カウンセリングに関わる体験を引き合いにしましたが、その批判が目的ではありません。カウンセリングによって効果が上がっている方もいると思います。あくまで個人の体験として参考に止めていただければと思います。