気を下げる意識の置き方:藤平光一著「中村天風と植芝盛平 氣の確立」から

2025年3月10日

藤平光一著「中村天風と植芝盛平 氣の確立」(東洋経済新報社)(Amazonの該当ページにリンクしています。)

著者は合気道で大変著名な方(故人)ですが、私は武道を嗜まないことからこれまで寡聞にも知らず、最近になって本著を読む機会がありました。こちらの書籍で紹介されている意識の置き方を取り上げたのは、病気を克服する過程で試行錯誤しながら修得した呼吸法について、別の視点による発見があったからです。

なお、上記の呼吸法について未読の方は、メイン記事「うつ病、パニック障害を克服する過程で修得した呼吸法」(→記事)で紹介していますので、ご一読いただけると幸いです。

病気を克服してからかなりの年数が経っていますが、最近でも新たな気づきがあります。ご覧の方の病気の症状への対処や、呼吸法を行う参考になる部分もあるかと思いますので、以下に紹介してみたいと思います。

なお、紹介するにあたって、病気の症状への対処や呼吸法のうち関連する部分について以下、簡単に触れておきたいと思います。

病気のときの気功の体験を通じて、様々な症状があるときの体の気の状態がどのようになっているか省みたとき、気が頭の方に上がっている(上がる流れにある)ことに気づきました。

その対処法としては、まず気功の基本的な呼吸法である丹田呼吸を紹介しました。丹田呼吸は丹田(下腹部)に気を下げるもので、意識を丹田に置き、ゆっくり腹式呼吸をするものです。

気が上がる要因としては、日常において呼吸を浅く早く、胸の上部で行っている(肩呼吸になっている)ことや、意識が頭や胸など体の高い部分にあることが挙げられます。これらは気を丹田に下げる丹田呼吸とは逆のことをしています。

また、丹田呼吸を行ってみればわかるのですが、意識を丹田に置いた際には自然に腹式呼吸となり、肩や胸などの上体の力も自然に抜ける形になります。逆に先ほどの意識の状態では呼吸が浅く早くなり、上体も緊張して力が入ってしまうことが挙げられます。

管理人が自ら修得した呼吸法は、これらの気づきの下、より効果的に気を下げるよう試行錯誤したものですが、効果的に気を丹田に下げるために特に重要なポイントとして、丹田呼吸にもあった丹田(下腹部)に意識を置くことのほか、横隔膜を押し下げることを呼吸法の記事(→記事)でお話しさせていただきました。

以上が簡単な紹介ですが、これらを踏まえて今回の著書を読んだとき、以下の気づきがありました。

まず、本著タイトルの植芝盛平氏ですが、合気道の開祖であり武道の達人とされています。そして門下にあった著者は、その強さは「リラックス」に由来するものであり、「リラックスの達人」であったと述懐しています。

そして「リラックス」するための一つの方法として、意識の置き方が紹介されています。それは「体の一番下に重さを置く」というものです。非常に簡単な表現だと感じました。

地球には重力があるので、重さは下に向かいます。そのようになるはずなのですが、これまでお話ししたように、意識の状態によっては気が上に向いてしまうことがあります。重さが一番下にあるということは、本来のあるべき自然な形に戻すということです。

体の一番下の方に重さを感じてみたところ、横隔膜が自然に下がりやすくなり、肩、胸などの上体も自然に力が抜けやすい状態になることがわかります。このため呼吸法も非常に行いやすくなります。それはつまり、気が下がりやすくなるということです。重心もの方になるので、気が下がった状態で安定しやすいと感じました。

このように意識を置くことで変化が起こるということは、これら横隔膜の状態や上体の力の入り具合を感じてみたとき、その効果がわかるのではないでしょうか。それでも気の所為なのではないかと思われる方は、次のことを試してみてください。

「体の一番下に重さを置いた状態」で、胸に空気を入れてみます。あるいは首や肩、胸などの上体に力を入れるようにします。果たしてこれらのことできたかと言えば、ご覧の方もできなかったのではないでしょうか。つまり胸式呼吸や体を緊張させることができないということです。これを言い換えれば「リラックス」した状態になるということです。

丹田呼吸を紹介した記事(→記事)でも、意識を丹田(下腹部)に置いた状態ではこれらができないことをお話ししましたが、呼吸とは別の「重さを意識する」という方法によっても、同じような現象が起こりうるということです。呼吸法と合わせれば、気がより下がりやすい体の状態になります。

この著書を読んで面白いと感じたのは、管理人が病気のときに気功の体験を通じて得た気づきと武道の達人による「リラックスの方法」との間にどこか通底するものがあり、体にも同様の現象が起こるということです。

最後に繰り返しになりますが、上記の方法は気を下げるうえで参考になりますし、管理人も病気のときにこの方法を知っていれば、病気の症状に対処する上で役に立ったのではないかと思い、紹介させていただきました。

本サイトで紹介している呼吸法と合わせて参考にし役立てていただければ幸いに思います。


著者・管理人:柊 基博(Hiiragi Motohiro)


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